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       「脳と心の洗い方」苫米地英人 (フォレスト出版)

薬のプラセポ効果はご存知でしょうか?

権威あるお医者さんから「この薬は頭痛によく効きます」と言われるとたとえそれがビタミン剤

でも、それなりの効果がある、というものです。製薬会社の臨床試験でもプラセポをあらかじめ予見して

二重ブラインド・テストというものをします。つまり、無作為に偽薬と真薬を「権威付けして」その

効能のデータをとるのだそうです。

これは、わたしたちの脳と心が一体化していて、分離して捕らえることができないという一例です。

苫米地博士は言います。

「わたしたちは真の現実をありのままには認知していない。もし、それが可能とすれば
  
 深い瞑想状態もしくは、『悟り』の状態でのみ認識することができる」(これをなぜか通常意識と言う らしい)



「わたしたちは変性意識状態にある。催眠、暗示、軽い洗脳状態で内部表現としての外部を見ている」

「内部表現としての情報空間は、外部環境まで広がっている。ホメオスタシスは身体的・物理的
 
 空間だけでなく、情報空間も含んでいるためだ。」

 そして、「わたしたちの意識は、覚醒(悟り)意識とトランス(無意識・昏睡)バーチャル(仮想世界)の中

 間に存在している」と言います。

 博士の提唱しているのは、認知科学・・・コグニティブ・サイエンスというらしいのですが、その

 専門内容が数理哲学・情報工学・洗脳技術など広範に及ぶため、ちょっと難解でわたしはいまひとつ理

 解が浅いので、意識と脳を数理関数として扱うあたりはわかりません。

 ただ、驚きなのは脳機能科学と言う先端では、すでに「悟り」を認識のベースに置いている

 ということです。これは、ケン・ウィルバーやスタニスラフ・グロフなどのトランス・パーソナル

 心理学とも隣接したテーマで、最近のスピリチュアルの思想的バックボーンでもあります。

 博士は、一方で政府の先端通信システム・危機管理情報システムなどを構築しながら、気功協会の理

 事、、角川事務所顧問、携帯ゲームの開発など多彩な活動をされているようです。本書を書くにあた

 り、天台宗大 僧正と真言宗大阿闇梨のアドバイスも得たという徹底ぶりです。
 
 話がややこしくなりました。トリックみたいですね。言うところの『超天才脳機能科学者』あるいは
 
 碇ゲントウみたいな人だな、と。

 サイコ・ドクター最終回は洗脳がテーマで、『実りの家族』という教団を扱っていますが、これは

 博士の「洗脳原論」をモチーフにしています。いかりや長介の名優ぶりと竹之内豊の共演

 も見ものです。
 
 苫米地英人博士の詳細は ドクター・苫米地ブログでご覧ください。
 「キリスト、仏陀を理解していない人へ」という記事は必見かな。
 
詳しくは「脳と心の洗い方」苫米地英人(フォレスト出版)。

 閑話休題。

 トランス・パーソナル学会初代会長・文化庁長官・ユング心理学者の河合隼雄さんが、今月

 亡くなりましたね。ご冥福をお祈りします。