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(シュタイナー幼稚園でも用いられる羊毛人形 ゲーテアヌム  ルドルフ・シュタイナー)

『四国アントロポゾフィー・クライスHP』URL:http://anthro-4.jp/

はい、どっと・こむにちは(=^o^=)やまねこでおます。暑中お見舞い申し上げますどす。

さてさて、あいかわらず来月のシュタイナー医学連続講座の案内に廻っております。

今回は、『アトピーの治療とシュタイナー医学松山講演会』(8.23愛媛総合女性センター)が一番大きな

講演となりますから、女性特にお子様をかかえるお母さんたちが一番多いのではないかと思っています。

夏は、皮膚のトラブルを抱えやすく、特に小さな子供さんはアレルギーや皮膚炎などで悩まされやす

い時期ですね。講演会を前に少し予備知識のような感じがあるといいかもしれません。

そんなわけで「ゆるやかなシュタイナー入門」というタイトルでルドルフ・シュタイナーの思想に触れる

アプローチを書いてみようと思います。お母さんたちの中には、シュタイナーというとまず教育学者とい

うイメージをもたれる人も多いかと思います。間違いではありませんが、ルドルフ・シュタイナーは

現代の様々な危機に対して最も有効な思想とは何か?人間とは何か?という問いに答えようとした哲学者

であり、哲学・芸術・教育・環境・農業・医療・経済・社会実践など様々な分野で独自の実践体系をもた

らした人です。そして、その中心的な人間学的思想を「アントロポゾフィー」と名づけました。

「人間の叡智の学」という意味合いですが、その根本は古代ギリシャや古代エジプト、古代インドなどか

ら連綿と伝わる神秘学の流れに属し、近代以降の自然科学的世界観を克服すべくシュタイナーが言う「精

神科学」として提唱されたものです。

さて、シュタイナーと言えば、多くの人にとってはまず、シュタイナー教育ということでしょうが、わた

しの場合は、まず、神秘学者としてのルドルフ・シュタイナーと言うことになります。このあたりが、シ

ュタイナー愛好者の傾向を二分する原因となっています。

シュタイナー教育として、はじめて触れた人から見ると神秘学者としてのシュタイナーはあらかじめ、ブ

ラインドが掛けられている形になりますね。フォルメンやオイリュトミー、エポック授業など実践面、

幼児教育・・・とりわけ母親の立場でシュタイナー教育に触れるとシュタイナーの思想とは切り離した形

でも充分説得力のある教育法として活用できるようです。それは、個人的には決してまずいことではない

のですが、背景にあるアントロポゾフィーという壮大な体系が、一教育法の実践体系として受け取られ、

その側面のみが広範囲に浸透するという現象も生むことになり勝ちです。モンティッソーリなどのように

背景の思想の関与なく、教育法が広がると言う傾向はほかにも見られますが、シュタイナーに関しては、

その乖離がもっぱら「神秘学」というバックボーンによるのではないかと思っています。

シュタイナー教育の親しみやすさと比べ、アントロポゾフィーがすんなりと理解がすすむものではないと

いう事情が根底にあるせいでしょうか。

確かにアントロポゾフィーは、いざ取り組んでみると理解するのが、単純、簡単お手軽な思想ではありま

せん。また通常の教育学や自然科学のように体系的な知識の集積と言うものではなくそれらと全く異なっ

た立場にあることが おぼろげながら、見えてくるようです。 わたしたちはいわば「ダイジェスト知識」

の消化や回答を得て納得したがる傾向からは、とうてい思い及ばない領域に神秘学としてのアントロポゾ

フィーがあることに気づきます。 霊学(精神科学)と言われるものは、シュタイナー教育にとって も、他

の社会実践にとっても根幹を成していることが、少しずつ わかってくるのです。それをたとえば、スピ

リチュアルなお告げのように受け取り、納得することも、また体系知識として整理することも できず、

自分の中で保持し、暖め、培うことが求められていることに思い至ります。ここまで来るとシュタイナー

教育もアントロポゾフィーもやっかい なシロモノと思う人がいても、驚くにはあたらないのでしょう。

いわば、心の中に謎を抱えたまま宙ぶらりんになってしまうのです。

さて、そのやっかいなアントロポゾフィーとはどういうものなのでしょうか?

アントロポゾフィーは、人間の内なるものに関わる学問だと言うのは、わかります。また、神秘主義や最

近のスピリチュアルとどう違うのか?と素朴な疑問を持つ人もいるでしょう。

わたしは、はアントロポゾフィーとは、現代の科学的な学問の未来に来るべきものと思っています。

つまり、アントロポゾフィーは、シュタイナーの提唱した時代(1900年代)以来、現代も引き続き形成され

つつある「生きた学問」であると思うのです。生命体としての学とでもいえるかもしれません。

シュタイナーは有機的自然学を提唱した文豪ゲーテを深く敬愛し、自身がデザイン・設計した建築物を

ゲーテアヌム(ゲーテの館)と名づけ、ゲーテの戯曲やオイリュトミーの上演をします。シュタイナーの

芸術学・自然学・文学上の父は、ゲーテなのであり、彼はその後継者を自認していました。ちょうど日本

では宮沢賢治が登場した時代のことです。ゲーテアヌムの建設は、シュタイナーの晩年近くのことです

が、文学・評論界へのデビューは、ゲーテ文庫に招かれて、キルシュナー版ゲーテ全集の自然科学論文集

の編纂に関わることから始まっています。つまり、シュタイナーは生涯を通じてゲーテ的世界観の研究と

深化と発展に向けてアントロポゾフィーを命ある存在として育てたのだとも言えるかも知れません。

アントロポゾフィーを象徴するゲーテアヌムは、現在もスイス ジュネーブ郊外のドルナッハの地に聳え

ています。

ゲーテアヌムはシュタイナーの思想に共鳴する人々によって運営されています。研究機関としては、精神

自由大学という組織があり世界中のアントロポゾフィー関係の学術機関の中心となっています。またシュ

タイナーが組織した普遍アントロポゾフィー協会という組織も平行しており世界中の協会員によって支え

られています。

以前ご案内のように今回の講座を主催する四国アントロポゾフィー・クライスというグループもこの普遍

アントロポゾフィー協会会員によって組織された団体と言うことなのです。これはシュタイナーの思想に

関わる地上的・社会的な反映と言うことになるでしょうか。しかし、その背景には霊性を秘めた存在とし

ての人間観があります。

さてさて、次回はその神秘的人間観について書きましょう。


やまねこ(=^o^=)でした。