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今日は暖かく、気持ち良い1日でした。

福岡正信氏の本をここ最近読んでおりましたが、職場の介護施設の利用者Oさんから

福岡氏の「わら1本の革命」に通じる話を聞きました。

Oさんは97歳の女性、福岡さんと同じ伊予市の方でお百姓さんでした。

ここ数日、鬱傾向、話を聞くと、ご主人が浮気をしてた時のことを思い出して

感情が収まらないご様子。半世紀以上も前のことでしょうが、つい最近の出来事に思われる

のでしょう。「あんたみたいな若い子にはわかるまい。私は100年も生きとんよ。

そりゃ~いろいろあるんよ。」ごもっともなことで・・・。私も若くはないが、

Oさんの半分しか生きとらんわと思いながら、いろいろ話をしていくと、

「ばあちゃんの漬物は最高や言われよった。子供に教えても『ばあちゃんみたいにはできん』

言われよった。麹を寝かせて焼酎も味噌も作りよったんよ。」

「へ~どうやったらおいしいお漬物できるん?」

「沢庵はまずは大根そのものが大事。それと、干し方、弧を描くように曲がるまで干さないかん。

そうなってから、漬けるんよ。じっくり時間かけないかんのに、子供らはそんな暇はないと

言よった。ハリハリ漬けは土がついたまま、カリカリになるまで干す。

それから、きれいにたわしで洗って、細かく刻む。それに熱湯を入れて、水を含ませ、ふわっと

かさが増したらしょうゆ、味醂、酢で味付けして瓶に入れておく。

ちょうど、田植えの時期なんか、おかずつくる暇がないので、ご飯とハリハリ漬けで

十分なご馳走よ。みんなうまいうまい言うて食べてくれた。

稲わらは庭木の肥やしいうて大事にしよった」わらを撒く習慣が昔はあったのかと思い

「田んぼや畑にもわら撒きよった?」「うちは田が小さかったから、牛の餌にしたら残らん

かったけん、山の草を刈ってそれを干して、畑に撒きよった。とうもろこしなんか枯草を撒いて

おいたら焼けんし、肥料にもなって良く育ちよった。」

福岡氏も高知の田んぼで藁が撒いてあるその下から緑の芽がでているのを見て、藁を田に撒く

ことを思いついたと著書の中に書いてあります。原点は昔の百姓にあったのでしょう。

それから、何十年にもわたる観察と研究によって「自然農法」の体系をつくられたわけですが、

残念なことに近隣で田にわらを撒いている風景をみかけることはないですね。

自然と共に生きてきた百姓の知恵よりも、近代農法の方が圧倒的に強い。

それと同じくして、Oさんの作っていた漬物の味も無くなってしまいました。

10年前にお会いしていたら、弟子入りしたかったな。

百姓仕事はきついと聞ききますが、Oさんは本当に楽しそうにお話しされました。

話しが終わったあと、窓から畑をしばし眺めておいででした。

その後、Oさんの鬱はどこへやら・・・。

また、ほがらかなおばあちゃんに戻っておりました。